1. 「日本人にかえれ」(出光佐三)
『日本人にかえれ』 (ダイアモンド社) は、戦後自信喪失し迷走する日本人に 『日本人の原点に戻り、誇りを持って堂々と生きよ!』 と出光佐三氏が激励した名著書です。佐三氏 86 歳の昭和 46 年6月に刊行され、今も色褪せることなく多くの人に読まれています。「百年に一度の傑物」と尊敬される佐三氏が示す日本人の進むべき道、戦後 76 年を経ても日本の心を見失い定見なく混迷する私達現代人に、明るい展望・不動の道筋を与えてくれます。佐三氏は大著 「わが六十年間」 全3巻を筆頭に数多くの名著を残されましたが、「日本人にかえれ」は、それらのエキスが凝縮され、日本人座右の一冊として一生大事にしたい名著です。 1.「日本3千年の歴史を基に建設にかかれ」 この本は単なる企業経営哲学でなく、神代から江戸・明治・大正・昭和の時代背景、国際情勢を、佐三氏独特の慧眼で俯瞰した 『日本人の原典、人間学の指南書』 です。 冒頭の書き出しで、日本開闢以来初の大敗戦で国民全体が腑抜けになっている中で、佐三氏は微動もせず終戦2日目に 『愚痴を言うな、日本三千年の歴史を見直せ、そして建設にかかれ!』 と檄を飛ばします。 その言葉通り、出光は主事業の海外資産を全て失ったにも拘らず、引揚者千名を 『家族を馘にはできない。乞食をしてでも全社員で乗り切る!』 と、牧場・漁業・印刷業・ラジオ修理業、そして下請け業者でさえ拒否したタンク底油回収作業・・に全社員を率いて取組み乗越えました。このことが他社に類を見ない社員の堅い絆と、その後の驚異的な発展の基盤を作りました。 310 万人が戦死、日本中が瓦礫と化し、呆然自失した日本国民への占領政策は苛烈を極めました。当時貴族院議員だった佐三氏は 『占領軍は、日本再起にとどめを刺し、日本の亡国化、日本解体を目指した。日本精神は完全に否定され、一夜漬けの憲法を押付けて一日にして議決させ、国民の意志は完全に無視された。これが何の民主主義か!』 と憤激しています。(しかし 76 年経過しても、国民の大半は押しつけ憲法を後生大事に疑問も抱かず、憲法は一字一句変更なく、憲法改正の国会議論すら始まっていません。) 2.三島事件と店主 この国民の情けない精神的堕落を覚醒させようと、昭和 45 年 11 月 25 日に起きたのが 『三島由紀夫事件』 でした。 陸上自衛隊...